作品No011

作:eiさん

悪魔って知ってる?
まあ、解りやすく言えば、人間たちがサタナエル、ときにサタナイル(Satanail)とか呼んでいる一族とその配下よ。
サタナエルっていうのはサタンの正式名称よ。
人間たちは魔王とか魔神、ルシフェルとかアザゼルとか呼ぶこんで混合することもあるけど・・・まぁ、いずれにしても悪の王様ね。

人間って、悪魔が創造したものだから(注1)、その人間を操り、思いのままに操ることは、私たち魔族にとって当然の権利よね。
だから、人間を自由に操ったり、精気を頂いたりすることは、あたしたちにとっては、と・う・ぜ・ん!!
人間の嫉妬や欲望、精気があたしたちの糧だから、まぁ一種の家畜に近いよね。
造って、適当に放っておいて増やして、たまにあたし達が収穫するって感じ。もちろん、楽しみながら☆☆

で、言い忘れたけど、あたしはメフィストフェレス(Mephistpheles、Mephostophilis)の一族なの。
地獄の中でも彼は大公だから、結構血筋がいいのよ。
そこら辺の2流や3流の魔神といっしょにしないで欲しいわ。
 もっともメフィストフェレス自体は有名だけど、人間どもが勝手に書いた風評が広まって、格が落ちてしまったわ。(注2)
今に見てな。
あたしが得意の幻術(注3)で、人間どもを堕落させて、見返してやるわ。

でも、まだ見習いの身なんで、研修中ってとこ。

で、今回は、人間の男の心を自分に屈服させ、隷従させることが課題。
その第一弾てことで、とりあえず、あたしにすべてを捧げることを誓わせて、儀式を行えばクリア。
クリアしたかどうかは、すぐに魔界へ報告されるわ。
だっていつも、他の悪魔に監視されてるから・・・・まぁ、奴もあんまり格は高くないけど・・
悪魔にも格があって、上に行くには結構大変なの。
でも、上に行くとたくさんの僕や眷属、時に軍団を指揮することさえできるわ。
大公ともなると、数十の軍団を指揮できるのよ。
あたしはまだ使われるほうだけど・・・いずれ魔族の男共をこき使ってやるわ。ふふっ

それはともかく、今回はまず、目をつけたのは男の心を読み取って、奴の好きなタイプの女に姿を変えることからはじめたわ・・
男の心を読み取るのは、簡単。
もうとっくにその課題はクリアしたから・・・悪魔は人間の心の隙に付け込むのが商売だから当然でしょ。

あたしが目をつけた男は、身長170cm、20歳、なるべく成熟したてで、体格は平均的な感じの奴を選んだわ。
あんまり極端な奴だと、これまでの経験どおりいかないこともあるでしょ。変なとこで失敗したくないし・・・心が比較的未熟そうな若い個体を選んだ理由は当然解るでしょ。
おとなしそうな奴だけど、心の中読んだら、女との交尾のことばかり。
でもそれでいて交尾したことがないってとこが笑っちゃう。
人間って繁殖のために交尾するより、快楽のためがメインってとこがいいわね、やり易くって。
しっかり、デーモンの根回しが効いてるって感じ。(注4)

とりあえず、奴の好みの姿で、現れてやったわ。
茶髪にレザーのミニスカ、エスペタイプの厚底のブラウンのロングブーツ。目鼻立ちは割と整っていて、化粧は濃い目、172cmの身長。
ついでに足のサイズ24.5cmってとこね。
この種族の人間の女としては大き目の部類に入るわね。
「へぇー、こいつ、こんなのが好きなんだ」って感じ
奴は女の足とかブーツに特に強く惹かれていたわ。
心を読めば何をして欲しいかすぐ解る・・・

あとはきっかけを作ってやるだけ。
案の定、声をかけたらすぐ食いついてきた。
それから、奴の「ねぐら」に行って・・・・そこで奴の望みをかなえてやったわ。

そうそう、奴の「ねぐら」ってのが結構めんどうで、まず入り口でブーツを脱いでから入るのね。
前に経験した、もっと皮膚や髪の色の薄い種族とは、ちょっと違ったから戸惑ったけど、そこは一応、あたしも優秀な悪魔だからそつなくこなしたわ。
やっぱ、こういった動作の端々もきちんとこなしてこそ、変に警戒されずに、より自然に人間の心に付け込めるってわけね(笑)。
奴の心を読んだら、ブーツのまま部屋に入って欲しいみたいだったけど・・・この種族ではあんまりそういうことしないみたい。
奴って変わってる?
それとも前に経験した種族に似た系統なのかな?
それにしても、「ねぐら」はかなり狭かったわ。ほんと下等動物の「巣」って感じ。
結局、奴はこの種族の人間どもの中でもあまりランクが高くないってことね。
まぁ、あたしとしては、そんなことどうでもいいことだけど、最初はできるだけ普通にしてた方が、奴を変に警戒させなくてすむから・・・
少なくとも儀式が終わるまではね。
いずれにしても、下等な連中でもいろんな奴がいるってこと。

話がずれたわ。
まぁ、とにかくその狭い「ねぐら」で奴の欲望をかなえてやったわけでけど、まったく魔族の男に比べたら、人間の男なんて・・・(笑)
こっちは、ぜんぜん本気じゃないのに、ちょっとやってやっただけであっという間に何回も果ててたわ。ふふっ
奴はすっごく驚いてたけど、あたしにとってはあたりまえの結果。
奴の粗末な茎をあたしにしか反応しなくしてやったわ。

それに、こっちはさっさと服着てるのに、奴は全裸で呆けたように横たわってて、なんか完全に勝ったって感じね。

奴の状態を見届けて、すっかり「ねぐら」を出る準備をしてからいよいよ課題にチャレンジ。
奴は、あたしが着替え終えて、入り口でブーツを履いたのを見て少し慌ててる。
もうあたしが帰ると思っているみたい。
心を読んだら、あたしを引き止めることばかり考えてた。楽勝〜☆☆
あたしは、そんな表情を隠して奴のところに戻って、真顔で奴の息がかかるくらいに横たわっている奴に顔を近づけて、
「あたしにすべてを捧げる?」と言ったら奴はあっさり承諾した。
「誓う?」
奴がうなずく。
あたしは笑みを浮べた。これで決まり。
奴も愛想笑いしたけど、そんな奴を放っといて、あたしは呪文を唱え、奴の胸に手を伸ばし、そのまま手を突っ込み、心臓を抜き取ってやった。
儀式も完了し、これで課題終了。
同時に魔界に報告されているはず。
ほんと、あっさり終わった。
課題は結構緊張してたんだけど、チョー拍子抜け。
奴はあたしの手の中にある自分の心臓が動いているのを信じられない表情で見てて、これが可笑しくって!!!
奴の心の中を読んでも真っ白!
「これで、課題をクリアできたわ。ありがとう。」
奴はまだわかんないって感じ。
説明してやった。
「これ、あんたの心臓よ。あたしにすべてを捧げるって言ったから頂いたの。」
手のひらの上で動いてる心臓を奴に見せてやったけど、まだわかんないって感じ。
不思議そうな顔で自分の心臓を見てる。間抜け面(笑)

あたしもそろそろ飽きたから、
「とりあえず礼を言っとくわ。でもあんたはもう用済みだから始末させてもらうわよ」
言葉を聞いて奴の表情がめまぐるしく変わる。
この期に及んでもまったく状況を理解していない。
魔力で奴をベッドに押し付けたまま、もうあたしにしか反応しなくなった茎をブーツで踏んでやった。
奴にこういう願望があるのがわかってたから・・・あたしなりにほんの少し感謝の気持ちを込めてやったつもり。
「最期に、あたしがあんたの精気を全部吸い取ってあげるから・・・悪魔に堕されるのは時には快感も伴うのよ。後は破滅だけど・・・」
そして、快感にもだえる奴を見下ろしながら、しばらく茎を踏みしごいてたら、奴はえびぞりながらあっさり精を漏らした。
その瞬間に奴の精気を吸い取ってやったわ。ほんのちょっと余力を残して・・

男が、精を漏らす瞬間って、あたしたち魔族と波長が合うみたい。
なんかすごく吸い取りやすいの。

そしたら、奴の体は半分枯れたように茶褐色に干からびて、手のひらにある心臓の動きもやばいかなって感じになってきたんで、フィニッシュに、心臓を奴から見えるように床に置いてブーツで踏んでやった。
奴は目を丸くして自分の心臓がひしゃげるのを見てた。
心を読むと、まだ奴は事態を理解してなかった。バーカ。
心臓は、結構弾力があって踏み応えあったけど、踏みつけつづけたら、形がひしゃげて、少し破れたみたい。
もう鼓動って感じよりも痙攣って感じで動いてる。
気付いたら奴も「死の痙攣」が始まっていた。
ま、心臓潰されたんだから当然よね。
心臓にトドメに踏みにじってやると、奴の体も一回のけぞって動かなくなった。
でも奴の意識はかすかにまだ残っているのがわかったわ。
まだ奴の心の中が読めたから・・・。

そう、体は死んでも心はもうしばらく生きてるの。
ギロチンなんかしてやると、落ちた首の目が瞬きしたりすることがあるけど、解りやすいいい例よね。
奴の半分開いてる口に無理やりブーツの爪先を突っ込んでやりながら、最期の精気を抜き取ってやったら、奴の思考も完全に消えた。
奴の感覚の一番最後は、精気を抜かれる脱力感と快感を感じたハズ。
あたしって結構やさしい悪魔なんだ(笑)。課題をクリアした後だから、ヨユーって感じ。
あたしも奴の精気で少し満たされた感じだしー。
でも奴の嗜好って、人間にしては少数派かな。
今までこんな奴いなかったし・・・
まぁ、あたしは精気を頂ければどうでもいいけど。
当然、奴の魂もGETしといたわ。
これから魂のほうは地獄に送ってやるけど。ふふっ
奴の魂はこれからずっと、あたしの幻想と、地獄の苦痛の間で彷徨うってわけね。

なんて考えてたら、精気を完全に抜かれた奴の体が一層枯れ果てた感じになって、カサカサして脆くなったから、気付いたらそのまま口に突っ込んでるブーツで顔を踏み抜いちゃってた。
ま、しょうがないね。
それから丁寧に頭を踏んで潰してやった。
パキパキ乾いた物が壊れる音がして結構面白い。
人間って精気を抜いてやるとこうなるから結構好きね。
それから胸から腕、胴、そして足。
腰の部分だけのこしてやった。
腰だけベットの上に置いてあると、なんか変な置物みたいで可笑しい。

最期に少しだけ奴に感謝と愛情を込めて、立てたまま枯れちゃってる茎と、その周辺を粉々に踏んでやった。

茶色くてかさかさの細かい破片の集まりが人間だったなんて、一目でわかる奴はいないよって感じ。

えっ?後始末?
するわけないじゃん。そんなのは人間同士でやってちょうだい。

そんな感じかな。今回は。
次は手ごわそうだけど、聖職者の魂をあたしの幻術で叩き落してやるわ。
それじゃ

注1=旧約聖書には登場しないものの、「魔王」として有名な存在です。
サタンの正式名称と言われています。
 「エノク書」にはグリゴリの一員として紹介されていますが、12世紀には悪の中心人物として知られるようになっています。 
サタナエルを有名にしたのはボゴミル派というブルガリアに生まれたキリスト教の一分派が、その存在を大きく取り上げたからです。
それによると、神には二人の息子がおり、兄は悪魔サタナエル、そして弟がキリストであるとしていました。
サタナエルは天使の中でも最高の能力を持っていましたが、神に反逆し、追放されました。その時に多くの天使が彼に同調し、様々な魔神のもととなりました。
天から落とされたサタナエルは、自分の住む新しい世界を作りました。
それが地上(今の私たちの世界)で、彼が人間を創造することも思いついたとされます。
しかし、創造と作業に失敗して、父(神)の助力を得たことになっておりますが・・・従ってこのお話の中でもその説を採りました。
  
注2=ゲーテの作品の「ファウスト」をさしております。
本来の伝承ではファウストの魂は地獄に落ちるはずなのですが・・・
ゲーテの曲筆?!のため、ファウストの魂は天界へ召されることになります。
作品中では、この結果にメフィストフェレスは舌打ちしますが、神にとってファウストの魂が天界に召されるのは規定の結果であり、メフィストフェレスは、まるでお釈迦様の手のひら上の孫悟空のような役回りになってしまっております。
本作品中の女悪魔はこの点に対し、怒っておるわけです。

注3=メフィストフェレスは炎の術と幻術に長けているとされております。
その幻は視覚のみならず、聴覚、嗅覚などすべての五感に訴える究極の魔術です。
彼はまた、人間の淫欲を満たしてくれます。
人間の欲に対して、即応し、その対応速度は、「ファウスト」でも記載されておるとおり、人間の思考速度に匹敵します。
普段は、たえず、見えないところから人の心の中に悪徳をするようにささやきかけ、そのささやきに応じた人前に現れて、悪魔との契約を迫るというのです。
この話の中の女悪魔もそれに近い能力を持っている設定となっております。

注4=サタナエルは神の助力を借りて人間を創造したときに、人間の支配権を神に取り上げられましたが、自分の影響力をできるだけ人間に残すために、密かに人間一人一人の心にデーモンという配下を住まわせた事になっております。

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